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学校の事例

地方の伝統校でベテラン(アナログ)と若手(デジタル)の良かとこが融合し子供たちが笑顔に

“この事例の具体的な流れ
・地方にある伝統校で学習指導や学級運営について保護者からのクレームが急増してきた
・デジタル機器、教材と先生の働き方改革に業務支援ソフトを導入するが効果より弊害が発生
 (ICTを活用した授業は混乱、先生方の残業時間は15%も増加)
・校長、授業力のあるベテランとIT得意な若手も一緒に「良かとこ」を深掘
・学びと業務改革にアナログとデジタルの「良かとこ」を融合させた姿を見える化
・残業時間を10%削減でき、ICT活用の授業研修に充当した結果、保護者クレームは80%減少
*近年減少していた受験者数も増加に転じている。

鈴木校長(仮名)は、教育ソフト会社、大手学習塾と面談して、デジタル機器、教材並びに業務支援ソフトを購入(一部リース)。働き方改革が進み、ICT利用した授業実践で子供たちの活気ある授業風景が見られると期待に胸を膨らましていたが、、、先生方の残業時間は15%増加し、ICTを活用授業は大混乱に!

鈴木校長(仮名)は仏作って魂入れずと考えて、今までの良かところを生かして、導入したデジタル機器やシステムを活用推進をどう進めたら良いか相談に来られました。

鈴木校長(仮名)からデジタル化による学校業務、授業内容の改善を進める相談を受け
その状況調査と分析を行い、以下のようなことがわかりました。

・学校特有の業務内容(プロセス)が20%弱有る
・先生方の知見を共有化し継承する明確な仕組みがない(属人的な口頭伝承がほとんど)
・先進的な学校運営や授業実践に触れる機会が少ない
・導入したデジタル機器、教材を有効利用する研修会等を定例化していない
・外部の人、モノ、お金を生かす試みが少ない

本格的なデジタル化による業務、授業内容の改善前に、テスト運用として行った対策は以下のようなものです。

・学校特有の業務内容(プロセス)を一般化できる分野と継続する分野に分類する
・今までの優れた授業実践、学級経営の資料(メモ)をセレクトしフォマートを統一する
・先進的な事例を見学に行く
・外部講師によるICT研修会

しかし、これだけでは継続性のある業務改善はもちろん授業改善には繋がりませんでした。

ここで、鈴木校長(仮名)の学校について、他の伝統校やICT先進校などとは違った独自の「良かとこ」や、校風の「良かところ」について一緒に深掘りしました。その結果出てきたのは、以下のようなことです。

鈴木校長(仮名)の学校が培ってきた「良かところ」
・独自のカリキュラムや学級経営を全職員で検討する伝統
・優れた授業実践や学級経営のノウハウ・メモを各自保管していた
・系列、提携校との定期的な交流があった
・近年、学校が改装工事してデジタル化に対応できる設備を完備

教職員、保護者(子供たち)側の不安点
・独自のカリキュラムや学級経営が21世紀の生きる力に寄与しているか?
 (労多くして功少なしになっていないか?)
・優れた授業実践や学級経営のノウハウ共有化は他者に塩送るだけで自分にはメリットがない?
・独自のカリキュラムをデジタル活用で実践できるのか?
・投資が嵩み授業料UP、給料縮減が起きるのでは?

これらの抽出結果をもとに、学校の「良かとこ」を教職員、保護者と共有して、伝統を生かし
新しい魅了を加味した学校のイメージを話し合いや不安点の解決の施策を新たに加えました。

学校の「良かとこ」を気づいてもらい、教職員、保護者の不安を払拭するために行った施策の一部が以下の通りです。

・独自のカリキュラムや学級経営の良かところを保護者や受験希望者にSNS等で公開
→21世紀を生きる力に直結してる理由とそのイメージ図で不安払拭

・授業力のあるベテランとITが得意な若手が学び合う場の設定と定例化をファシリテート
→アナログとデジタルの融合が学力向上に寄与するエビデンス提供と各自のこだわりの開示促進

・伝統や独自性がもたらしてるマイナス面は隠さずに披瀝
→解決案はWSを通じて全員で検討しベテラン・若手混成チームでまとめ、具体的計画を策定

・学校業務の見直しはBPR手法を用いて汎用性と頻度が高い業務プローをシステム化
 →緩やかに進めて残業時間の斬減を図った

これら以外にも、新しい取り組みやICTを活用した授業をSNSで公開して賛同者、支援者の拡大にテコ入れをしていますが、メインの変更点は以上の4つ

学校業務と授業実践の改善施策を決めた後は、「良かとこ」を見える化して伝統を重んじて先進的な授業で子供たちの創造力を育む学校である事をSNSメディ等を通じてアピールを行いました。

あくまで、「良かとこ」を明確に伝えて「教職員、保護者の不安」を払拭するための構成に変更しただけです。

近年まで入学希望者は年々減少していましたが、学校への見学やお問い合わせ数は増加し、学校説明会や公開授業への参加者は例年の20%UPとなりました。学校一丸となって伝統の良さを再認識した上で、時代に適合する実践を計画的に取り組まれた成果と考えられます。
デジタル化(DX)は目的でなく、あるべき姿を達成する手段(ツール)に過ぎないと感じました

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